少し立ち止まって、畑の外を見てみる

少し立ち止まって、畑の外を見てみる

28日の午前中に、年内最後の納品を終えた。
社長という立場ではあるが、現場のことはスタッフにお願いし、
後ろ髪を引かれる思いで、ひと足先に離脱した。

毎年恒例となっている、関西にある嫁の実家への帰省。
いまは、その道中の船の中で、少し考えを整理している。

船に乗れると分かった瞬間から、
興奮が冷めやらぬ子どもたち。
2歳、3歳、4歳を連れての、大移動だ。

皆が寝静まった船内には、
低く響くエンジン音だけが残っている。
誰の声もなく、時間だけがゆっくり流れている。

畑から物理的に離れると、
不思議と、頭の中まで静かになっていく


朝の畑は、以前より少し静かに見えるようになった。

作物が変わったわけでも、
仕事が減ったわけでもない。
たぶん、こちらの立ち位置が少し変わったのだと思う。

久しぶりに、このブログを書こうと思った。
理由は単純で、少し立ち止まりたくなったからだ。

毎日畑に出て、作物を見て、天気を気にして、数字を見て。
気づけば「前に進む」ことばかり考えていて、
振り返る余裕がなくなっていた。


有機農業をやる、と決めた当時。
30歳の頃の自分は、今思えばかなり“まっすぐ”だったと思う。

有機は正義なのか。
地元に美味しい野菜を、直接届けられるのか。
caféを始めたものの、
現場に居ても立っても居られないムズムズ感。
へべすが売れ始めた一方で、
この先への拭えない不安感。

どれも間違ってはいない。
ただ、当時の自分はずっと迷っていた。

農業とは何なのか。
理想とはどこにあるのか。
この先、本当に農業でやっていけるのか。

答えを探しながら、畑に立っていた気がする。


現在は、あの頃と比べると
ライフスタイルも、社会情勢も、ずいぶん変わった。

有機農業の認知も、
ほんの少しかもしれないが、
確実に前よりは広がってきたように感じる。

有機だから正義なのか。
慣行栽培は悪なのか。

今は、そう単純には考えていない。

そもそも農業が、
もっと評価されるべき仕事であること。
それが、自分がこの世界に入った一番のきっかけだった。

農業は、もっとおしゃれでいい。
もっと憧れられる職業であっていい。

土に触れ、季節を読み、
人の暮らしを支えている仕事が、
もっと胸を張れるものであってほしい。

少し原点に立ち返ってみると、
結局、やりたかったのは
そういうことなのかもしれない。


現場に立たない言葉は、
どうしても軽くなることがある。

10年前 慣行栽培 20cm株間で直立誘引短期勝負で根瘤線虫無視し、冬場の暖房経費削減できた最終作型

農業をやっていない人、
慣行栽培で有機をやっていない人。
有機しか知らない人 悪気がないのは分かっていても、
農業は農業であって現場から距離のある言葉は、やはり響きにくい。

ここ一年は、意識して外に出た。
有機農業で10ha規模感でやっている人の話を聞き、
違う地域のやり方を見て、
失敗談も含めて、正直な話を聞かせてもらった。

自分の中の農業像は、何度も壊れた。
そして実は、壊しに行っていた部分もある。

分かったつもりになる前に、
ちゃんと教えを乞いに行こうと思った。

そのたびに、少し楽にもなった。
同時に、少しずつだが
自信も持てるようになってきた。


立っている場所で、花を咲かす。
最近は、そんな言葉がよく浮かぶ。

正直に言えば、
自分の置かれている環境は、とても恵まれている。

販売先となる、
宮崎で9店舗を展開する地元密着型のスーパーマーケットが、
全面的に協力してくれている。

有機農産物を、
生産するだけでなく、
加工し、販売までつなげることができている。

これは、当たり前ではない。
だからこそ、
この環境に甘えるのではなく、
この場所で、きちんと結果を出したいと思っている。


ただ、正直に言えば、
有機農業は簡単なものではない。
というより、農業そのものが、思っている以上に難しい。

規模が大きくなればなるほど、
きれいな理想だけでは回らなくなる。

何をつくり、
どれだけの量を、
どのタイミングで届けるのか。

その一つひとつに、
現実的な判断が必要になる。

この話は、
ここでは書ききれない。

少し整理して、
また別の記事で書こうと思う。


それでも、
現場で起きていることを、
自分の頭で考え続けたい。

また、ぽつぽつ書いていきます。
畑の話も、畑の外の話も。


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今 だ か ら こ そ 僕 た ち 若 い 世 代 が 新 し い 感 覚 で 前 に 出 て い き ま し ょ う 。「 生 き る 」 の 中 で「 食 べ る 」は 最 も 重 要 な こ と 。そ の 食 料 を 他 に 依 存 し き っ て い る 日 本 。食 の 多 様 化 の 中 で 忘 れ さ れ る伝統食、伝統野菜、日本人の誇れる味覚・・・。農家の平均年齢 65 歳。10 年後、20 年 後 の 日 本 の 農 業 は? 私 た ち の 食 料 は? 農 家 だ か ら で き な い で は な く 、 農 家 に し か で き な い こ と を 。し っ か り 地 に 足 を つ け 泥 だ ら け の 生 き 方 に 誇 り を も ち 、伝 統 を 丁 寧 に 次 世 代 へ 。感 動 や 幸 せ は 五 感 を 満たされた先にあると信じて日々農 業に真 剣にとりくんでいます。 ”野菜のこと、ちょっと知るだけで私たちの食生活はもっと豊かになります。